どーも奥さん、アナゴです。フグ田君、まあまあ30分だけ、な!


by masuo_anago
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ヘンゼルとグレーテル?ああ、カニバリズムの話ですね。

<今日のマスオさん>
グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」の最後はどんな結末になるのでしょうか?

質問した人: cxgdq411さん

<アナゴ>
昔の童話って結構キツい物が多いですよね。
まあ、その辺はお子様むけの本ではうまいことはぐらかしていますが。

え~と、ヘンゼルとグレーテル‥‥‥と。

ああ、あったあった。



 
ドイツでのある時代のお話。
まったくもってサエない男(きこり)と、自分のことしか考えていない女がいます。
女は男と結婚し、子ども二人に恵まれました。(兄妹)
しかし生活は裕福ではありませんでした。そもそもこの母親は自分が一番可愛いタイプなのでね、子どもなんて労働力とか商品とかにしか見えてないみたいですよ。
そしてある年、物凄い飢饉にみまわれます。
もとから貧乏なこの家族、さらに切羽詰まった状態。
ある夜、子どもが寝た後に母親は父親に切り出します。
「このままじゃ私ら全員飢え死にだよ(いや、主に私がハラ減ってる)。こんど森に出掛けたときに、こいつら口減らしに捨ててこようよ」
駄目夫は逆らえません。なにが良くてこんな女と結婚したのか知りませんが、ほんとに駄目なやつです。(でもなんて怖ろしいんだ外国!とか考えてはいけません。日本も昔は同じようなことがありましたからね)
「そそそ、そうだね(きっと僕のことも考えてくれているんだ、僕もここ数日物食べてないから働いてててもフラフラなのを見て切り出してくれたんだ‥‥‥←とんだお目出度いヤツです)」

実は、この話をお腹が減ってて眠れなかった兄ヘンゼルが聞いてしまっていたのです。
「うわ、サイテーの親だよまったく。こりゃ自分の身は自分で守れと言うやつかね」
そう思ったヘンゼルはそっと布団を抜けだすと裏戸から外へ行き、ポケットに白い小石を沢山拾ってきました。
「グレーテル(妹)は僕が守らなきゃ‥‥‥僕はお兄ちゃんだからな」
何も知らないグレーテルはすやすやと眠っていました。

そして翌朝、両親は子どもをつれて森の深くへと、わざと細い道を通ってわけいっていきました。
「森の中なら、まだキノコや木の実があるかもしれないからね、あたしらが探してくる間、ここの焚き火でまっていてちょうだい」
両親は子どもをそのまま放置して家に帰りました。(育児放棄は罪になります)
日が落ち、夜になっても両親は焚き火の所に帰ってきません。
何も知らないグレーテルは不安そうにしています。
でも大丈夫。ヘンゼルはグレーテルに言います。
「きっと先に帰ったんだよ、僕が来るとき白い石を落としてきたから道はわかる。そろそろ僕らも帰ろう」
道がわかったって暗い森のなかは危険なですがね。まあそこでじっとしているわけにもいかず、月明かりでピカピカひかる石を頼りに二人は無事に家に帰り着きました。
家に着いた二人をいまいましそうに見ながらもしかたなく家に入れる母親。
「ちっ、明日からはこいつらのぶんの食事も食べられると思ってたのに」みたいな、ね。
あからさまに手を下すのは嫌だけど「森に行ったらはぐれちまって‥‥‥うううっ」みたいに言ってまわりに可哀想がられて善人ぶりたいという嫌な性格が滲みだしていますねえ。
父親は罪悪感を感じていたので気まずそうな顔をしています、が、罪悪感感じようが何だろうが同罪だという話しだが、馬鹿者。

数日後の深夜、懲りない両親はまた同じように「森で捨てて来ちゃおう計画」を無防備に話しています。
それを聞いたヘンゼルはまた白い小石を集めてこようと思うのですが、なんと!裏戸には外からかんぬきが下ろされていて扉が開きません。
表から出ては両親にばれてしまう。
なすすべもなく、ヘンゼルはまんじりともできぬまま夜をあかします。
実は前回子ども達が帰ってきた後、母親はどうして帰って来れたのかと疑問に思いちょっと調べた結果、白い小石がてんてんと落ちているのを見て「ハハーン」と気が付いたワケなんですね。
だから今回はヘンゼルが外に出られないように先手を打って置いたわけです。
そんな知恵を廻らせたり小細工するくらいなら、その悪知恵パワーをもちょっと建設的な方面に使えよと思うところですが、まあ悪役というのはこんなもんです。
なんにせよ、ヘンゼルが裏戸から出られないでいる物音を聞いて、ニヤニヤニヤニヤしていたんでしょうね。
おそらく母親はちょっと精神的に病んでると思います。

翌朝、また森の奥深くに連れて行かれた子ども達。
今度は小癪なことをしないようにと用心して、子ども達を監視しながら奥へ進みます。ホント病気です。
また森の奧に置いていかれて、今度は道標もありません。
不安になってしくしくと泣きだすグレーテルの手をにぎり、ヘンゼルはしかたなくやみくもに森のなかを彷徨いあるきました。
狼の遠吠えが聞こえるたびに二人でじっと縮こまってビクビクと様子を見ます。
途中食べられそうな木の実があれば食べてみましたが、どれもすっぱかったり渋かったりで食べられませんでした。っていうか、毒あったらどうするのとか思うんですが、そこは子どもだからいたしかたない。
二人とも足が棒のようになって、もう一歩も歩けない‥‥‥と思ったときでした。
どこからか良い香がするではないですか。甘い、甘~い香‥‥‥。
匂いをたどりながらフラフラと歩いていくと、目の前にちいさな綺麗な色のものが落ちているのが目に入りました。
手に取ってみると、甘い香りがします。
勇気を出して食べてみると、それはジェリービーンズではないですか!(よい子は真似しては行けません。不審な物が落ちていた場合はすみやかに警察に届け出てください)
「グレーテル、ジェリービーンズだ!」
そもそも貧しかったあの家庭で二人がジェリービーンズを「知っていたか」さだかではありませんが、ともあれそれはとても美味しかったのです。
二人はひとつ、またひとつとたどって食べながら夢中で前に進みました。
気が付くと二人は森のなかぽっかりとあいた空き地にでていました。そしてそのまん中に「それ」を発見したのです。
「お兄ちゃん、あれ‥‥‥なあに?」
「お菓子の家だ!!」
ヘンゼルはかけよると壁に手を伸ばしました。
壁はふわふわのスポンジケーキで出来ており、クリームが層状になっています。あまりの美味しさとそれまでの飢えに我をも忘れて貪り食うヘンゼル。ちょっと上記小石のくだりの知的さとはかけはなれている気もしますがキニシナイ。
最初はそんな兄の様子を心配そうに見ていたグレーテルですが、おずおずと自分も近付くと扉のはじっこをちょっと割り取ると口に運んでみました。
初めて食べる味でした。甘く口の中でとろっと溶けるチョコレートにだんだんとまわりのことも目に入らなくなってしまいました。
そうして何者かが背後に回ったのにも気が付かずに貪り続けた二人は、頭にガツンと一発くらって気絶してしまいました。夢中になりすぎです。うかつでした。よい子の皆さんは他人様の物を無断で拝借してはいけませんよ。
またそもそも殴るという行為がいけないことは当たり前ですが、ことさら頭は危険です。たいして強く撲たなくても死亡することがあります。
まただれかが撲たれたり転ぶなりして頭を打ったようなことがある場合には、頭を動かさないように安全を確保し、すぐに救急車を呼んでください。内出血などしていた場合大変なことになります。


さて、なにかが煮える音と、シャコシャコという妙な音でグレーテルは目を覚ましました。
目が覚めると板張りの床に転がされています。
「目が覚めたのかい‥‥‥」
しわがれた声にビクッと身を起こすグレーテル。
声の方を見ると枯木のような老婆が包丁のような物を研いでいるところでした。
「お前達、まんまとひっかかったのさ‥‥‥あの家はお前達のようなものを誘き寄せるためにあたしが作った「エサ」なのさ」
くっくっく‥‥‥と笑う老婆は包丁をギラリとグレーテルにかざして見せました。(だったら最初からお前が自分で食べる物つくっとけよとかそういうツッコミはナシです。老婆は「子どもを食べる」のが好きなカニバリストなんですから)
グレーテルは怯えた目で老婆を見つめます。
老婆の目は白くにごり、見えないようでした。(白内障ですかね?)
「お前はまだちっこいから、あんまり食べるところが無さそうだねえ‥‥‥まずはあの坊主からいただくとするよ。でもまだまだ痩せててまずそうだ。豚のようにまるまると太らせてから食べるのさ、ヒッヒッヒ‥‥‥あんたはあたしの手伝いをするんだよ、お兄ちゃんを捨てて1人で逃げられるのかい、お前を守ってきてくれたたった1人の兄を」
そう言われるとそれは物凄く悪いことのような気がしてグレーテルは老婆の言いなりになるしかありませんでした。
もとより、右も左もわからないような森のなか、狼もいるのに自分一人では何も出来ないことは幼いグレーテルにもよくわかっていたのです。

グレーテルは老婆の言い付けを守りながら、牢屋にとじ込められたヘンゼルの元へ食事を運びました。
毎日あれこれと仕事をさせられ、機嫌を損ねると容赦なく木の杖で叩かれます。グレーテルはだんだん深く物事を考えられなくなっていました。鬱ですね。(児童虐待はいけません!)
老婆は毎日一度、ヘンゼルの所に来ては「指をお出し」と言います。
「この指がまるまると太ったら、いいあんばいさね‥‥‥ヒエッヒエッヒエッ」
そう老婆が言うのを聞き、ヘンゼルは
「太ったらテラヤバス!」
とか思いました。
しかしおなかは減る、食事は運ばれてくる。逃げるにも体力が必要です。
ヘンゼルは日々、牢屋のなかで腹筋やスクワットをして鍛練しながらすごしました。
そして老婆が確認に来ると、食べた肉の骨を差しだしました。
この頃はめっきり表情もなくなり言葉数も少なくなったグレーテルですが、早いうちに「老婆は目が見えないらしい」と聞いていたからです。
老婆はまんまと騙されていました。
ヘンゼルはグレーテルを「絶対僕が助けるから、それまではおとなしく耐えていておくれ、必ず僕が守る」と日々元気づけていました。(とっつかまってる身分で助けるもくそもないんですがね)
グレーテルは最初のうちはメソメソと泣いていましたが、だんだんそれもなくなりしゃべることも少なくなりました。
ヘンゼルはそんなグレーテルが心配でしたがどうすることもできず、ただ「必ず連れだすから」と繰りかえすだけでした。
はやいとこ「鋼鉄も斬れる剣豪」みたいになってくださいよ。


さてさて、ある日、老婆はしびれをきらして怒鳴りながら言いました。
「まったく、いつまでたってもあのガキときたら太りゃしない!もういいよ、さっさとくっちまおう。お前はそっちのオーブンの火をつけな。あたしゃスープの仕度をするよ」
老婆は暖炉の前でスープを煮込み始めました。
グレーテルは言われたようにオーブンに火を入れるために家の裏手へと回りました。
台所のオーブンの裏手、重い扉を開いてマキを入れます。
点火剤として藁も入れて火を付けようとしますが、湿っているのかうまくいきません。
そうこうしているうちに老婆が様子を見に来ました。
「お前はなにをもたもたやってるんだい、ええ?」
「火が‥‥‥つかなくて‥‥‥」
「まったく使えないガキだよお前は。‥‥‥これは‥‥‥ちょっと湿っているのかね」
そういうと老婆は一度表に戻っていくと、手に何かを持って戻ってきました。
「これでつきが良くなる」
そういうと油を藁にかけました。そしてそのまま手に持っていた油の入った瓶をグレーテルに渡すと「マッチをおよこし!」といってオーブンの窯の前に屈みこむとマッチを擦り、奥の方に点火しました。
ちらちらと燃え始める火を見ながら、グレーテルはなにか不思議な感覚にとらわれていました。
グレーテルの様子など気付かない老婆は「もうちょっといるかね‥‥‥」独り言を呟いて炎の様子を見ています。
「その油をちょっとよこしな」
そういってふり向こうとしたときでした。
グレーテルは瓶ごと老婆に油を叩き付けると、驚いた老婆がバランスを崩した瞬間、思いきり体当たりをしました。
「!!!」
声もなく老婆は窯の中に転がりこみます。
目が見えない老婆は何が起こったかわからずあわてて手を振りまわしますが、油をあびているのでみるみるうちに炎にまかれていきました。
「ヒィィ!」
グレーテルは慌てふためく老婆を無表情な目でみやると、‥‥ギィィィィ‥‥‥鈍い音をさせ重い扉を‥‥‥閉めてしまったのでした‥‥‥。
----ギャァァァァァァァァァァ‥‥‥-------------

その声にヘンゼルはハッとしました。なんだ、この無気味なさけびは‥‥‥!!
まもなく牢屋の前にグレーテルが現れました。
「グレーテル!何があった?大丈夫かい?!」
あわてて声をかけるヘンゼルに、グレーテルは少し微笑んで答えました。
「‥‥‥もう少しよ」
そしてふいっとまた戻っていってしまいました。
何があったのかわからないヘンゼルはぼう然とグレーテルを見送るしかありませんでした。

ヘンゼルの所から部屋にもどると、グレーテルはいつものように部屋の掃除をし台所をかたづけ、オーブンから煙が出なくなるまで待っていました。
やがてオーブンが冷めたのを確認すると、火かき棒を持って窯の扉を開きました。
火かき棒で炭のなかをさぐります。
‥‥‥カツン
なにか金属質の物が先に触れました。それは老婆がいつも首から提げていたヘンゼルの牢屋のカギでした。
グレーテルがカギで牢屋をあける間、ヘンゼルはその焼け爛れたようなカギの表面を見て心の中に嫌な物がひろがりましたが、それに触れてはいけないと思い気が付かなかったフリをしていました。
牢屋から出て部屋にたどりつき老婆がいないのを見て、さっきの嫌な考えが「本当」だったと確信しましたが、何も言わないことにしました。

ヘンゼルは大きな袋に老婆の家の使えそうな物や宝石をつめこむと、グレーテルの手を取って笑顔でいいました。
「さあ、帰ろう」
グレーテルは心から嬉しそうな顔でにっこり微笑むと、深く頷きました。
途中何度か野宿をしながら森のはじを目差しました。
正直あんな両親の元に返らなくとも良かったのですが他に知る場所もなく目標もなかったので、記憶のある方へと進みました。
両親がどんな反応を示すか不安もありましたが、なんならすぐそこを出て他の村に行けばいい。
今はもう、ヘンゼルには怖い物などありませんでした。食べる物も飲むものも十分持っている。武器もある。力も付いた。
時々グレーテルのことが心配になって顔を覗き込むと、グレーテルはいつもにっこりと微笑み返すのでした。
そうして無事、家へとたどりつきました。
しばらく見なかった間にずいぶんと寒々しい雰囲気になっていました。
ちょっと様子をうかがっていましたが、思いきって扉をノックしてみました。
「キィィ」とすこしきしんだ音を立てて扉が開かれるとそこには、やつれた父親が立っていました。
「お、おまえはヘンゼルかい?グレーテルも一緒か‥‥‥ッよく、無事で‥‥‥ッ」
父親はぼろぼろと涙を流して二人をかきいだきました。
「お母さんは‥‥‥?」
ヘンゼルは一番気になっていたことを訊ねました。
「ああ、母さんは数日前‥‥‥流行病で‥‥‥」
グレーテルはクスッと笑うと言いました。



       「病気‥‥‥それじゃあ、食べられないわね‥‥‥」
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by masuo_anago | 2006-04-13 17:14 | ズバリ斬る