ザ・マンションのフリマ
2006年 07月 29日
なんか普通に出すのもつまらんなあ、とか思って怪しい出品をしています。
たとえばコーヒー。
美しく聡明な女性だった。
男は彼女を前にしてすべてを捨てて真っ当に生きようと思った。
男は女性の家へまねかれた。
あたたかく清潔な部屋。
おだやかな真昼のそんな風景に、かれは居心地の悪さを感じて窓の外を見ていた。
‥いつか俺も、こんな部屋が似合うように‥
飲物をいれるわ、と彼女がキッチンへ立った。
「コーヒーと紅茶、どっちが好きかしら」
「コーヒーかな」
「そんな気がしていたわ」
やがてキッチンから香ばしいコーヒーの薫りがし、彼女がトレイを手に戻ってきた。
「コーヒーは嫌いなのか?」
トレイにはコーヒーと紅茶が1つずつ。
「苦手なの」
申し訳なさそうに言いながらテーブルへカップを置く。
男は気が付いた。自分は飲まないコーヒーを用意していてくれたことに。
「好きな物を飲めばいいさ」
彼女は微笑むとソファーに座りカップを手にした。
男もコーヒーを一口、二口と飲みこむ。
心配そうな彼女に男は半分ほどぐっと飲むと笑顔を向けた。
「うん、美味い‥ん?」
男が急に顔色を変えた。
そしてぐったりとソファーにもたれ息を引き取った。
「腹黒いあなたにぴったりの特別苦いコーヒーはいかがだったかしら?」
たとえば玄関の置物。
それから、左脚を一歩前に出します。
そして右脚を大きく後に引き左脚を90度に曲げ、上体は「きをつけ」を保ったまま体重を後ろへ移動します。
‥‥今まさにあなたがこの置物のスタイルです。
こんな怪しくても、結構買ってくださるからうれしい^^