人気ブログランキング |

どーも奥さん、アナゴです。フグ田君、まあまあ30分だけ、な!


by masuo_anago
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

とある老人の話。

まあ、ちょっと思いだしたから書くんだけどね。別に面白い話じゃないけれども。
読みとばしてくれてかまわないとも。


僕の母方の祖父はえらくモボでイカシたじいちゃんだった。
その祖父の話なんだけれども。

フラリと「散歩に行ってくる」と出掛けたっきり見当たらなくて、僕と兄者がチャリで駆けずりまわって探しても見つからなくて心配してたら、飄々とお菓子で一杯の紙袋をかかえて夕日をバックに帰ってくるような祖父だった。
パチンコに行って来たんだって。「たまに行くと当たるんだな」なんて満面の笑顔で言いながらね。
まあ母にしこたま怒られていたけれども。
神妙な顔で謝ってシュンとして部屋に戻っていったから僕らが心配して見に行くと、ニカッと笑って「お菓子食べるか」なんて言ったりして。
でもそれからはちゃんと行き先を言って出掛けてくれるようになった。

母が言うに、若い頃からお洒落な人だったそうだ。
祖母は苦労したそうだ。

その祖父が一時、禁煙させられたことがあった。しばらく地元を離れて地方の娘さんの所に居たときのことだ。
娘さんって言っても僕の伯母だからまあ、そこそこの年齢の方だね。
祖父も70歳越えていたかな。
伯母は祖父を想い、健康を考えての事だったんだけれども、半年ほどたって地元に帰ってきた祖父は「煙草だけは我慢しないで吸わせてくれ」ってほとほと困った表情で言った。
「この歳になって我慢して悔いを残して生きてなんぼのものか」ってね。

正しいと思ったよ。

だから、それから祖父の箪笥の一番下の段に煙草を切らしたことはなかった。
祖父がパチンコでもらってくるお菓子の詰まった紙袋にはいつも「わかば」が1カートン一緒に入っていた。

僕が初めて吸った煙草は祖父の箪笥からくすねた「わかば」だった。
祖父を花で囲んだ日、僕は「わかば」も横にそっと置いた。

僕の思いだす祖父はいつも片手に煙草を持っている。そしてシブイ緑茶を一口啜るとこっちを向いてニカッと笑う。
祖父は僕のあこがれの人だ。
 
by masuo_anago | 2006-08-06 16:02 | アナゴのつぶやき